
いつも鈴木農場のマスタードをお使い下さりありがとうございます。
鈴木農場の看板商品「和からしマスタード」の特徴とその誕生秘話についてお話ししていきたいと思います
和からしマスタードの特徴
自社栽培の新潟県産マスタードシード
豪雪地帯だから美味しく育つ
お蕎麦に和からしを使う地域だからこそ育てる意味がある
ツンとした和からし特有のマスタード
無添加&手作り
誕生秘話
農家としての苦悩
辛いマスタードって無いよね
育て方が分からない
試し販売
和からしマスタードへ
それではご説明に入りましょう!

...といきたいところですが、その前にマスタードってそもそも何から出来ているかご存じでしょうか?意外と奥が深いマスタードの世界。まずは先にそちらをご説明したいと思います。
様々な種類がありますが、基本的には
マスタードシード
ワインビネガー
塩
砂糖
の4点をベースに構成されており、その起源は紀元前3000年頃まで遡り、当時は食用だけでなく塗り薬としても使われていました。関節痛や筋肉痛に使用されていたそうです。
あのツーンとした感じが湿布のように効くのでしょうか。
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そんな古来より愛されるマスタードですが、大切なのが「マスタードシード」こちらは日本でいう「からし菜の種」になります。このからし菜の種は大きく3種類あり
イエロー(ホワイト)
ブラウン
ブラック
と分かれています。
それぞれ特徴があり

1:イエロー(Sinapis alba)
色は黄色や白。他の種に比べて少し大きい。
マイルドな辛味で、アメリカンマスタード、マヨネーズに使用
国内では基本的にこれを洋からしに分類する。
2:ブラウン(Brassica juncea)
茶色。ディジョンマスタード、カレー等に使われる。
辛味は強めで、国内では基本的にこれを和からしに分類する。
3:ブラック(Brassica nigra)
黒色。強い辛味。インド料理、スパイスとして使われる。
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と種類によって用途が異なります。
ただここに更にもう1種別枠で分類が存在します。
それがオリエンタルという種類になります。
こちらがしばし様々な記事でも混同されており、私も調べるのに苦労させられました。
このオリエンタルが話しをややこしくするのですが、茶色、クリーム色、黄褐色と様々な色をもち、基本的には辛味が強い品種がオリエンタルとなり 学術的には 2:ブラウン(Brassica juncea)の中にオリエンタルが含まれるようです。
さらにややこしくに言うならばブラウンマスタードだけど茶色くない物はブラウンマスタードと呼ばないそうですし、ブラウンもブラックも殻を取り除けば中身は黄色です。
..........ややこしい。

ちなみに日本で昔から使われていた「和からし」にはブラウンのオリエンタルが使われていたようです。殻が茶色いので殻は取り除いていたようですね。
現在の多くはオリエンタルの殻がクリーム色の種類を使っているようで、殻は取り除かず、そのまま砕いているようです。
なので本来の和からしに使われているのはブラウンであり、オリエンタルであるのです。
だが近年ではイエローを使った「からし」もあり表記によって異なります。チューブタイプの表記で気になった事はないしょうか?「本からし」と、「和からし」何が違うのかと
◆「本からし」
イエロー等とブラウンの混合で辛味がマイルド。
◆「和からし」
オリエンタルで作っており、辛味が強い。
「本」なのか「和」なのかで異なり、よく見かけるチューブのわさび等も同じであり、表記によって使っている原料や配合が異なります。
気になる方は調べてみると面白いかもしれません。
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さて、なんとなくマスタードが何からできていて、どんな品種があるのかお分かり頂けたでしょうか。非常にややこしく説明が難しいのです。
それでは改めて鈴木農場の「和からしマスタード」について順番に説明していきたいと思います。
目次--------------------------------------------
自社栽培の新潟県産マスタードシード
豪雪地帯だから美味しく育つ
お蕎麦に和からしを使う地域だからこそ育てる意味がある
ツンとした和からし特有のマスタード
無添加&手作り
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1:自社栽培の新潟県産マスタードシード
「和からしマスタード」の1番の特徴はなんといってもこの「和からし」が自社栽培であり、新潟県産だという事です。
「和からし」に使われるオリエンタルマスタードシードの国内生産量はほぼゼロです。ではどこから輸入しているかというとほぼ100%カナダ産となっているようです。
私も気になって農林水産省に問い合わせてみたのですが、少なすぎてどれ位なのか把握できないとの事でした。
身近にある「からし」ですが、ほぼ国産のものは無いのが現状です。
そんな中、鈴木農場では「和からし」を種から自社で栽培する事で珍しい国産のマスタードシードを確保しています。
ではなぜ皆育てないのかというと、単純に種を育てて売るだけでは輸入品がある今、利益を作り出す事が非常に困難なのです。
農業は天候に左右され、多くの手間と苦労、獣害、虫害、そして多額の肥料代がかかります。肥料代も高騰する昨今、農業自体が難しいのに需要の少ない物を作るのはとてもリスクがあるものなのです。
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2:豪雪地帯だから美味しく育つ
この「和からし」ですが、実は私共も知らなかった事実があり、意外な所からそれは発覚しました。
和からしマスタードが少し知れてきた頃、何度か他社から電話を頂く事があり電話の相手は同じくマスタードを栽培してみたという農家や企業でした
その内容は「マスタード育ててみたのだけどエグい。どうやって育てているか教えて欲しい」という内容でした。
実はマスタードシード(からし菜の種)は先ほど書いた通り、国内ではほぼ育てられておらず、詳しい育て方が不明なのです。そんな中農家として感と、トライ&エラーを繰り返す事でやっとからし菜の栽培方法を確立してきました。
育て方が不明なのは分かるのですが、「エグい」というのは感じた事がありませんでした。
化学的に基づく内容ではありませんが、私達の住む南魚沼はいわゆる豪雪地帯であり、この冬の間に積もる数メートルの雪のおかげで、お米だけでなく南魚沼の山菜は「エグみが無くて、柔らかい」とよく言われます。
この事から私達の「和からし」も雪のおかげでエグみが無く、大きく育つのだと思っております。
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3:お蕎麦に和からしを使う地域だからこそ育てる意味がある
実な魚沼地方ではお蕎麦も有名です。「へぎ蕎麦」とよばれる蕎麦で「へぎ」は器のことをさし、木で作られた特徴的な長四角い器で、そばにはつなぎとして「布海苔」が使われ、弾力のある歯切れの良い蕎麦が特徴です。
私共の住む南魚沼の隣町「十日町」というところでは蕎麦に「わさび」ではなく「からし」が薬味としてついてくる事があります。
これはかつて「わさび」が採れなかった為、代用として「からし」を使っていた名残と、布海苔にからしの香りが合うからだそうです。
もちろん現在では「わさび」が手に入る為、「からし」では無い店舗もあります。
この為、十日町ではかつて「からし」を育てていましたが、現在ではからしを育ておりません。
そんな「からし」をある事がきっかけで育てる事になり、かつて育てていただ作物だけに、その出来上がりの良さと味の良さには驚きました。
私達がからしを育てる事で、この地の文化を知るきっかけになってくれたらと思います。
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4:ツンとした和からし特有のマスタード
皆さん「マスタード」と聞くとどんな味をイメージするでしょうか?
おそらく「辛い」をイメージされるかと思いますが、日本国内で売っているマスタードの多くは大抵「辛味がマイルドな」マスタードです。
それは多くのペースト状マスタードでは「イエロー」を使用しており、このイエローマスタードは「辛味がマイルド、マヨネーズやピクルスの香り漬けに使われる」といったことがあげられます。
某ハンバーガー屋さんのナゲットに付いてくるマスタードソースはまさにイエローマスタードの味わいです。
昨今ではこのイエローマスタードを潰さず、そのまま使ったプチプチ系のマスタードが流行っているようで、様々な物を見かけます。
その他粒マスタードではイエローとブラウンを混合させたり、ブラウンだけど辛味が弱いもの、もしくは本来は辛かったであろう物があります。
「和からしマスタード」はこれらとは異なり、いわゆる「和からし」特有のツンと鼻に抜ける辛味が楽しめるマスタードです。
イエローはイエローの良さがあり、特徴的な香りとマイルドな辛味で食べやすいマスタードで、ブラウンとはまた違った良さがあります。
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「本来は辛かったであろう物」
と先ほど書いたのは
日本で売っているマスタードの中にも「ディジョンマスタード」や「ブラウンマスタードシード」を使用している輸入されたマスタードをみかけます。 「ディジョンマスタード」とはフランスのワインで有名な「ブルゴーニュ地方」で作られる伝統的なマスタードでありブラウンまたはブラックを使用する為、しっかりとした辛味が感じられるマスタードです。
ブルゴーニュ地方の大切な名産品の一つでその製法には法律が関わる程です。
なので本来ディジョンマスタードとは辛味がしっかりと感じられるはずであり、実際私たちのマスタードを食べたフランス人の方が「故郷の味に似ている!」と驚かれた事があります。
なのに日本で売っている「ディジョンマスタード」は特に強い辛味は感じられません。
これは日本用に調整しているのか、それとも輸入する段階で辛味が無くなってしまっているのか。実際に本場ブルゴーニュで食べた事が無いので分かりませんが、本来はきっと辛いものだったのかもしれません。
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5:無添加&手作り
和からしマスタードはとてもシンプルにできています。
マスタードシード
穀物酢
塩
砂糖
この4点から作られ、添加物も何もはいっておりません。
手作りで丁寧に作り、瓶詰めからラベル貼りまで全て自社で行っております。
また市販のマスタードではワインビネガーが使用されますが、和からしマスタードでは穀物酢を使用しています。
これは私たちのマスタードが「和からし」を使用しているので和のマスタードに合う酢を、という事で穀物酢を使用しています。
お酢には新潟県の新潟醤油 株式会社さんのお酢を使用させていただいております。
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そんな和からしマスタードですが、最初からこのマスタードが出来上がったわけではございません。様々な試行錯誤があり今の形があります!
それでは和からしマスタードがどのように出来上がっていったのか誕生秘話をご紹介します。
目次-----------------------------------------------------
農家としての苦悩
辛いマスタードって無いよね
育て方が分からない
試し販売
和からしマスタードへ
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1:農家としての苦悩
まず鈴木農場は現在の社長「鈴木雄一郎」が三代目となり。代々この南魚沼で野菜を主軸に農業をしてきた農業一家です。
まずこの地域は皆様ご存じの通り「コシヒカリ」が大変有名な地域であり、その味からブランド米としても有名です。
ではなぜこのコシヒカリが有名な地でわざわざ野菜を作っているのか、それは戦争後に初代鈴木(現社長の祖父)が戦争から帰還後にもらった土地が田んぼではなく、畑だった事から始まります。
以後野菜農家として南魚沼の伝統的な野菜「野沢菜」等を育て、二代目(現社長の父)へと引き継がれます。
その後二代目で牛飼いとして食肉牛の出荷を行い、順調だったが狂牛病(BSE)の流行で牛飼いを断念。また野菜を主軸とする農家となる。
その後現在の社長である三代目へと引き継がれるのだが ...........
農業の過酷さ、そして手元に残るお金の少なさに絶望。
これではいけないと感じ、ただ栽培して売るのではなく、栽培した物を加工する、加工食品へと乗り出した事が始まりとなります。
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2:辛いマスタードって無いよね
加工するといっても右も左も分からない状態であり、食品製造の基準は簡単ではありません。
なんとか調べながら小さな加工施設を作り、商品作りを始めました。
こんにゃく芋を育ててこんにゃくを作ったり、アスパラを使ったスープ等様々な商品を作ったが鳴かず飛ばずの日々が続きました。
転機が訪れたのはとある知人から言われたひとこと
「辛いマスタードってないよね?」
その知人はグルメ通であり、言われてみると辛いイメージだけあって実際にはあまり辛く無いものばかりだ
そんな言葉と共に、知人から作って欲しいと言われ、まずは輸入物のマスタードシードを使って試作してみる。
すると「マスタード」自体は簡単にできた。調べてみるとマスタードは「からし菜」の種であり、おまけにこの地域ではかつて栽培されていた歴史もある
もしかしたら美味しい辛いマスタードができるのではと思い、早速栽培が始まった。
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3:育て方が分からない
さっそくからし菜を育ててみるが、からし菜の育て方はどこにも載っていない。冒頭で説明した通り、誰も作っていないから詳しい育て方が分からないのだ。
しかし農家の感と経験でまずは試しでと2反歩で栽培を始める。
これが2017年の事でした。 ※1反は約990㎡。
翌年2018年にはなんとか2反歩から100kg程度の種が収穫できた
しかしこの収穫してからというのも大変で、からし菜の種はサヤに入っており、直径1mm程度の極小の種であり、ゴマより小さい。そしてサヤに入っている為大量のゴミを含む。
当時は手で刈り取り、棒で叩き、ある程度ゴミを取った後にピンセットで極小のゴミを取っていたのです。
今でこそ選別の方法を含め確立できましたが、選別には6回もの工程が必要であり企業秘密なのです。
そしてそのからし菜の種を使ってマスタードを作ってみると、輸入したマスタードの種では味わえなかった辛味と爽やかな香り、全く別物のマスタードが出来上がった。
これなら人気がでるかもしれないと思い、面積も前年より拡大し、二代目の父が主に畑の管理をし、三代目の息子が営業等の販路の活動、そして主に母が加工を担い、一丸となってこのマスタードの販売へ注力しました。
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4:試し販売
販売を決意したものの、販売するまでもそう簡単ではありません。
まずマスタードをどこに売ればいいのか、そもそもどうやったら売っていいのかすらも分からないのです。
売るには様々な許可が必要と同時に、それを入れる入れ物やラベル、そして適切な販売価格が必要です。
どうにか全て揃え、2018年9月より試しで販売したところすぐに好評をもらい大きな手応えを感じ始めていました。
同年2018年の冬に、現在鈴木農場でデザイン等も担当する南雲に合う事となります。
現社長の鈴木はデザインが良くないと頑張って作っても売れないという理由を感じてました。更なる発展の為この頃からデザインに南雲が関わり、見た目も少しずつ変化していきます。
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5:和からしマスタードへ
2018年では商品名はまだ「和からしマスタード」ではなく、「MUSTARD」でした。
同年に作成したポスターの一部に「和からし」を使った「マスタード」なのだから「和からしマスタード」が分かりやすいのでは、とタイトルとして入れているだけでした。
確かな手応えは実績となり、翌年の2019年の5月には前年度に収穫した種が無くなる。
今までとは全く違った手応えを感じていた瞬間でした。その後も順調に販路を開拓し、2020年にポスターのタイトルに使っていたタイトルがそのまま商品名となり、現在の「和からしマスタード」となったのです。
その後コロナウィルスの流行等で苦しい時期もありましたが、なんとか耐え現在に至ります。
今では最初にできたマスタードに加え「Smoke」「Honey」そのほかにもマスタードを主軸とした沢山の種類の商品を販売しています。
少々長くなってしましましたが、今まであまりお話ししていなかった「和からしマスタード」の特徴やその希少性、誕生秘話でした。
少しでも私達の製品の想いが伝わって頂けたら嬉しいです。
今後とも鈴木農場をよろしくお願いいたします。
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